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安全・社会・環境・広報活動

3.省エネ・省CO2・リサイクル等の取組み

鉄道事業の電力消費

鉄道事業においては、使用するエネルギーの大部分を電力が占めており、列車を動かすために使用する電力を「運転用電力」、駅施設等で使用する電力を「付帯用電力」といい、これらの電力の削減に取組むことが、省エネルギーにつながります。
2017年度の鉄道用電力使用量は約745百万kWh(前年比1.2%減)(列車と駅施設の使用量の合計で、駅店舗等の使用分を含まず)で、うち運転用電力量は前年度比0.1%減、付帯用電力量は前年度比7.5%減でした。
車両走行キロは前年度比0.0%で変わらず、前年度よりも平均気温が夏は涼しく、冬は寒かったため、運転用電力は上半期0.8%減、下半期0.5%増となりました。
また、電車の発車本数が増えて、走行距離が増えるほど、電力使用量も増えるため、電力消費が少ない省エネ車両や、LED照明などの各種設備の導入を進めています。

鉄道用電力消費の推移

(単位:百万kWh)電力推移
電力消費の推移 1990年度 2017年度
動力原単位
(kWh /車キロ)
2.48 2.15
(△13.3%)

※車キロとは、車両走行キロの略で、回送を含む年間の車両の延べ走行距離。(2017年度:300,380km)
運転用電力(2017年度:645,041千kWh)を走行距離で割ることで、車両走行1kmあたりの使用電力量がわかります。

運転用電力消費と省エネ車両比率の推移

運転用電力消費と省エネ車両比率の推移

消費電力の削減に貢献する省エネルギー車両を順次導入し、全車両の60%にあたる1,150両が省エネルギー車両です。そのうち特に省エネ効果の高いVVVF車両は一般車両と比べて消費電力を35%削減しており、896両です。また、アルミ車両、ボルスタレス台車により車両の軽量化も図っています。
省エネ車両とは、回生ブレーキ装備または軽量化車両(ステンレス製・アルミ製)です。

アーバンライナーnextアーバンライナーnext
しまかぜしまかぜ

LED照明導入率(2017年度までの実績と2018年度以降の計画)

LED照明導入率

LED照明導入率

LED照明導入率

  実績 計画
2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020
2.2% 5.6% 11.0% 14.2% 20.0% 36.6% 45.0% 48.0% 50.0%
車両 0.0% 0.6% 4.4% 11.3% 17.4% 19.5% 24.7% 28.5% 32.3%

長寿命で省エネ効果が高いLED照明を、駅や車両で使用しています。2017年度末で累計35,677台のLED照明により年間998万kWhの電力を節約しています。また、観光特急「しまかぜ」では、車両内で全面的に使用しています。今後も駅や新型名阪特急での導入を進めていく予定です。

車両運行におけるCO2排出

世界規模で地球温暖化防止とCO2削減に取り組む枠組みであるパリ協定では、日本政府はCO2排出量を2013年度比で「2030年度に26%削減」「2050年度に80%削減」という目標を掲げています。鉄道事業におけるエネルギー使用量のうち、電力は98%であり、その内訳は車両運行で85%、駅施設で15%を使用しています。パリ協定の目標実現に向けてCO2排出量を削減するには、車両運行と駅施設におけるCO2排出量を減らすことが重要ですが、そのためには省エネ車両や省エネ設備の導入や、新たな技術開発が必要です。また、人口減少やライフスタイルの変化などの社会環境の変化や、電力会社によるCO2排出係数の変化の影響を受けるため、社会全体で取り組むことも必要となります。

車両運行におけるCO2排出量

車両運行におけるCO2排出量

2017年度 主な省エネルギー対策と効果

  2017年度
削減量
費用削減
効果額
備考
省エネ車両 15,556 万kWh 2,177,882 千円 1,897両のうち省エネ車両1,150両
き電線上下一括化 870 万kWh 121,800 千円 奈良線・京都線・橿原線・大阪線・名古屋線等
ヒートパイプ式等整流器更新 647 万kWh 90,580 千円 更新済63台
照明のLED化
(うち、2017年度増加分)
998 万kWh
(295)万kWh
139,720 千円
(41,300)千円
駅・ホーム 累計35,677台
前年比 12,823台増加
照明のインバータ化 310 万kWh 43,400 千円 駅・事務所等 累計20,208台
インバータ照明もLED化予定
地下空調インバータ化 324 万kWh 45,360 千円 大阪難波駅等6駅
力率改善用コンデンサ 252 万kWh 35,280 千円 29変電所および駅
回生電力吸収装置 181 万kWh 25,340 千円 けいはんな線・大阪線
計3ヶ所
エスカレーターの自動運転 39 万kWh 5,460 千円 17駅38基(前年比1基増加)
エスカレーターの速度自動制御 9 万 kWh 1,190 千円 3駅17基
(大阪難波、近鉄日本橋、大阪上本町)
合計 19,186 万kWh 2,686,012 千円  
  • ※削減量および費用削減額は、単年度での各項目導入以前との比較です。
  • ※削減予想効果算出に、鉄道用電力は1kWh=14円、水道使用量は1m³=262円で計算しています。
  • ※省エネ車両の効果は、一般車(カム車)との比較です。

き電線上下一括化

上り線と下り線のき電線を電気的に接続することで、き電抵抗が減少し、き電線で消費されている電力損失の低減を図ります。また、回生ブレーキにより発生した回生電流が接続箇所を流れるため、上下の列車間でお互いに効率よく利用することで電力量削減を図ります。2018年3月現在で、奈良線、大阪線、京都線、橿原線、南大阪線、名古屋線、山田線、鳥羽線、志摩線等で実施しており、年間870万kWhの電力を節約しています。

地下駅の空調設備の効率化

地下駅の空調設備において、温度負荷に応じた細かい運転を行うインバータ化を図り、効率的な運転を行うことで電力消費を削減しています。
大阪難波駅、近鉄日本橋駅、大阪上本町駅、近鉄奈良駅、大阪阿部野橋駅、近鉄名古屋駅でインバータ化を実施し、年間約324万kWhの電力を節約しています。

力率改善用進相コンデンサの設置

通常は電力を使用する際には、電力ロスが発生しますが、力率改善用進相コンデンサを設置することでロスを減らし、電力効率を改善しています。尼ヶ辻変電所、中川変電所などの29ヶ所の変電所と、駅の電気室に設置し、年間約252万kWhの電力を節約しています。

回生車と回生電力吸収装置

回生車とは、回生ブレーキ装備の車両で、速度を一定に抑える時や、減速する時に、モーターを発電機として使用し、発電された電気を他の車両で利用、もしくは回生電力吸収装置で吸収し、駅構内等の照明設備等に再利用できます。新生駒変電所、白庭変電所と長谷変電所に回生電力吸収装置を設置し、年間約181万kWhの電力を回収して再利用しています。

パーク&ライド

駅周辺で駐車場および駐輪場をグループ会社が運営するほか、時間貸し駐車場業者に土地を賃貸し、駐車場運営が行われており、駅までは車で来て、駅からは電車を利用する「パーク&ライド」をすすめています。
車よりも環境にやさしい電車を利用することで省CO2になります。

乗車券・特急券のリサイクル

紙製の乗車券・特急券は、リサイクルして、トイレットペーパーに生まれ変わります。

ごみの分別・減量

駅のごみ箱は、「缶」「ペットボトル」「新聞・雑誌」「その他」に分別し、ごみの減量とリサイクルを進めています。また、家庭ごみや危険物の不法投入等を防止するため、ごみ箱の透明化を順次進めています。
列車内から排出されるごみは、車両整備時に回収・分別しています。

分別ごみ箱分別ごみ箱

鉄道工事等で排出する廃棄物の減量・管理

工事や作業で発生する不要になった資材は、社内においてリサイクルを図り、排出する廃棄物の減量に努めています。やむを得ず処理する廃棄物については、近畿日本鉄道㈱は産業廃棄物の排出事業者として、収集・運搬・処分業者に産業廃棄物管理票(マニフェスト)を発行し、適時処理現場を確認するなど、それぞれ適正な処理を各業者に促しています。

制服への再生素材の使用

駅係員用のシングル上着と、駅係員および乗務員用のズボンに、再生ポリエステルを50%使用しています。

制服制服

古いレール部品等の活用

中古のレール、まくらぎ等のうち再利用が可能な材料については積極的に再利用するほか、廃車車両の使用可能機器をできる限り再利用し、新造車両や増備車両に使用しています。

車両における配慮

新型通勤車両(シリーズ21)では、シートのクッションに再生可能なポリエステル繊維を採用しています。車体の材料には、リサイクルの容易なアルミ材を使用しています。

車庫における水の有効利用

車庫(検車区)において、車体洗浄機により車両を洗浄しています。車体洗浄機から排出される洗浄排水は排水処理装置により浄化して河川や下水道に放流しています。またこの水の一部を車体洗浄機やトイレ付車両の汚物タンク洗浄水として再利用しています。
名古屋線富吉車庫の車体洗浄機においては、大気や水との反応により、中性に戻る、環境や人に優しい「アルカリ性電解水」を使用しています。

車体洗浄排水図車体洗浄排水図
列車検査車体洗浄機

吉野線 華(はな)いっぱい計画

観光特急「青の交響曲(シンフォニー)」の運行にあわせ、吉野線を紅葉や季節の花で華やかに彩る「吉野線 華(はな)いっぱい計画」に、2016年3月から取り組んでいます。
2017年3月までに、吉野駅~飛鳥駅間にモミジ・アジサイ・ユキヤナギ・ドウダンツツジ等の約17,000本の樹木等を植樹しました。特に福神駅から薬水駅の間は、計870本のモミジを約1kmにわたって植樹し、新たなモミジの名所を目指しています。

ユキヤナギの植樹(吉野駅)ユキヤナギの植樹(吉野駅)
モミジの植樹(福神駅)モミジの植樹(福神駅)
アジサイの植樹(壺阪山駅)アジサイの植樹(壺阪山駅)

生物多様性との関わり

事業活動の様々な段階において、生物多様性への影響があることを認識し、負の影響をできるだけ抑制するよう、生物多様性の保全につとめています。

生物多様性との関わり

シカ踏切

2016年5月に、東青山駅付近に「シカ踏切」を導入しました。シカは、線路をはさんで存在する生息域を行き来しますが、線路周辺に設置された「獣害防止ネット」がガードレールの役割をしてシカが入り込むのを防ぎつつ、ネットの張られていない場所をシカが通るように誘導し、その場所に設置した装置から、列車運行時間帯はシカが嫌がる「超音波」を出して、鹿を横断させず、列車が通らない時間帯は自由に横断してもらう仕組みで、超音波が踏切の代わりになります。導入後、このエリアでの電車とシカの接触事故は大幅に減少しました。
また、シカ踏切が2017年度グッドデザイン賞を受賞しました。

シカ踏切 列車運行時間帯
シカ踏切 列車運行時間外シカ踏切イメージ図
近鉄東青山における獣害対策シカ踏切(東青山駅周辺)

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