大阪線 前編(大阪上本町~桜井)

大阪線 前編
大阪上本町~伊勢中川
109.0キロ 1,500V 標準軌
八尾~恩智間開通の新聞広告
八尾~恩智間開通の新聞広告

上本町~桜井間は、近鉄の前身・大阪電気軌道(大軌)の桜井線、桜井以東は大阪電気軌道の姉妹会社・参宮急行電鉄(参急)の手で建設されました。 大軌の桜井線は、橿原線につづいて、奈良線の南側への路線拡張のため布施(当時・足代)で分岐する新線です。

  • 上本町・名張間の普通電車(大軌の車両)
    大軌の車両による
    上本町・名張間の普通電車
  • 工事は、大阪側の布施からと橿原線八木から、はさみ撃ちする格好ですすめられました。 1914(大正3)年4月30日上本町~布施間がまず開通。 1924(大正13)年10月31日布施~八尾間、翌年9月30日八尾~恩智間が順々に開通。 1927(昭和2)年7月の恩智~高田を最後に布施~八木間が全通。 同線経由で上本町~橿原神宮前間に直通電車の運転を開始しました。 所要時間は55分、従来の西大寺経由に比べて約25分短縮し、奈良県中南部の交通は一段と便利になりました。 上本町~桜井間が全通したのは1929(昭和4)年1月5日のことです。

思い出の車両 2200形

  • 単線当時の佐田(現・榊原温泉口)~大三間をゆく宇治山田発上本町行急行 1957(昭和32)年2月27日
    単線当時の佐田(現・榊原温泉口)~
    大三間をゆく宇治山田発上本町行急行
    1957(昭和32)年2月27日
  • 参宮急行電鉄が桜井~宇治山田間全通時に大阪~伊勢間直通運転用として1930(昭和5)年から翌年にかけて新造した半鋼製電車で、57両を製造しました。 車体長20メートル、片側2扉のセミクロスシート式の大型車。 長距離運転用のため、電動車と制御車の車端にトイレを設置。 150kwの大容量の主電動機を使用し、電気制御も備えていました。 戦後、一部は特急用に改造しましたが、主に急行用車両として運用し、1974(昭和49)年までに廃車しました。 今なお鉄道ファンの間で語り継がれる、日本を代表する名車。