大軌デボ1

大軌デボ1

大軌デボ1は、近鉄の前身・大阪電気軌道が大阪~奈良間開業に備え新造した木造電車。 第一次世界大戦勃発の前年、大正2年12月から翌年の3月にかけて、18両が製造されました。 1~15号車は汽車会社、16号車~18号車は梅鉢鉄工の製造。 上本町~奈良間を55分で結び、運賃は30銭でした。 ちなみに、大阪名物きつねうどんが2銭の時代です。 

大軌デボ1 あゆみ

ポールカーとして誕生した大軌デボ1は当初、単車(1両)でがんばっていました。
大正末期にには自動連結器を取り付け、昭和5年にはパンタグラフ仕様となりました。 昭和17年に「デボ」→「モ」に変更、また8年後にはモ200系と名が変わりました。 他の木造車両が鋼鉄製車体に改造されていく中、戦後もこの車両は鋼体化改造を行わず、橿原線、天理線等でも木造車両のまま運用されました。 寄る年波には勝てず、昭和39年、東京オリンピックの年に廃車となりました。

大軌デボ1 車両性能

電動機は123Kw×2の大出力車で、電気制御付でした。 同じころうぶ声を上げた関西の他社車両が、37Kw~48Kw×4程度の装備であったといいますから、その力持ちぶりがわかります。 これは生駒越えという難関を控えていたため。 その生駒トンネル(初代)、全長は3,388mで当時は国鉄笹子トンネルに次ぐ長さ。 広軌としては日本一。

  デボ1 3200系(現在の京都線通勤車両)
最大長さ

約14.8m

約20.5m

最大巾

約2.5m

約2.8m

最大高さ

約3.7m

約4.1m

電圧

600V

1,500V

定員

100人

145人

座席

48人

62人

自重

22.3t

37.0t

大軌デボ1 車両性能

  • 大軌デボ1
    豪華な室内
  • 車体は15m長、片側3扉で、正面は半円形の5枚窓とし、乗降用ステップをなくした平床構造。 車体は底光りするゴージャスなうるし塗り。 大正時代の電車の特徴であるクラフトマンシップも、車内の随所に見ることができました。 彫刻をほどこした柱やひじ掛け、花模様のシート地、趣きのある室内灯のデザインなど、デボ1は内外装ともに豪華さを誇っていました。

大軌デボ1 兄弟たち

デボ1のような、正面がカーブ状をなして非貫通・5つ窓というスタイルの電車はその後も量産されました。 デボ51は大正7年、その3年後に開通する 西大寺~郡山間のために製造された小型車といわれています(5両)。 2年後にはデ ボ1と座席の長さが異なるだけであとはほぼ同じという、デボ19が登場しました(10両)。 そして大正11年~13年にかけてデボ61が大量生産され(42両)、このグループは奈良線や橿原線の主力車両となりました。

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