特殊狭軌(ナローゲージ)

特殊狭軌(ナローゲージ)
特殊狭軌(ナローゲージ)の車両

特殊狭軌とは

  • 特殊狭軌
    ナローゲージ時代の湯の山線
    湯の山温泉駅。昭和34年9月。
  • 近鉄には軌間(線路幅)の異なる3種類の線路が存在します。 奈良線、大阪線、名古屋線などの1435mm(標準軌)、南大阪線、吉野線、伊賀線(現伊賀鉄道)、養老線(現養老鉄道)などの1067mm(狭軌)、北勢線、内部・八王子線(現 四日市あすなろう鉄道)の762mm(特殊狭軌)です。 1067mmより軌間の狭いものを一般にナローゲージと呼びます。 明治末期から大正にかけて日本各地でナローゲージの鉄道が建設されましたが、現在ではそのほとんどが姿を消してしまいました。 しかし近鉄の特殊狭軌線(以下ナロー線)である北勢線(現 三岐鉄道北勢線)、内部・八王子線(現 四日市あすなろう鉄道)では、対照的に近代化が進み、まだまだ健在です。

過去に活躍した車両たち

近鉄ナロー線には、旧松阪鉄道・旧三重鉄道・旧北勢鉄道・旧三重交通、及び近鉄によって製造された車両が転用、または新造され、混用されていました。
現在では車両の近代化が進み一部の旧型車を残すのみですが、廃車になった車両の一部を紹介します。

  • 特殊狭軌
    モ231、内部付近。昭和51年
  • 1 旧松阪鉄道(松阪~大石ほか)の車両旧松阪鉄道で生まれたフ21・22は、三重鉄道を経て近鉄ではモ231・サ121に改称。 同じくデ31~33は三重鉄道時代にモニ201~203となり、近鉄と合併後、サニ111~113に改称。

  • 特殊狭軌
    モニ212、内部線(現 四日市あすなろう鉄道)内部駅。
    昭和51年9月。
  • 2 旧三重鉄道の車両
    旧四日市鉄道で生まれたデ51~54は、三重鉄道デ21~24を経て三重交通・近鉄時代はモニ211~214に改称。

  • 特殊狭軌
    モニ222
    (後ろはサ104、全金属車)、北勢線在良駅付近。昭和41年1月
  • 3 旧北勢鉄道の車両
    モハニ50~55として生まれた車両は、三重交通統合時、モニ221~226に改称。 のち221・223がTc(制御客車)化されてク221・223と改称。 222・224~226がMc(制御電動車)のままで、うち221~224が残りました。

北勢線(現 三岐鉄道北勢線)

  • 特殊狭軌
    モ271+ク171、楚原~上笠田間。
    昭和52年11月。
  • 北勢線では昭和52年から昭和58年にかけて体質改善を図り、終端駅で行われていた動力車の付け替えをやめ、総括制御ができるように在来車改造。 信号方式もATS付き自動閉塞式とし、ミニ鉄道ながら近代的設備を備えた線区になりました。 この北勢線近代化の花形として登場したのがモ270、ク170とその増備車モ277。 切妻、両開き扉の15.6メートル車で、モ277のみは1人掛けのクロスシート、その他はロングシート車です。

    ひとくちメモ

    北勢線は大正2年、北勢鉄道により部分開業。 平成15年4月に、三岐鉄道に業務譲渡

内部・八王子線(現 四日市あすなろう鉄道)の現況

  • 特殊狭軌
    モ261+121+161、
    日永駅。昭和58年。
  • 内部・八王子線(現 四日市あすなろう鉄道)でも昭和57年から昭和58年にかけて、モ270を基調に軽量化したモ260や、ク160を投入。 車両の近代化と総括制御化がはかられました。

  • 特殊狭軌
    1人掛け固定クロスシート。
  • モ260は全長15.6メートル。車内は運転台向きの1人掛け固定クロスシートで、一見バスのような雰囲気。 基本構成はMc(制御電動車)・Tc(制御客車)で、中間に在来車のT(客車=全長11メートル余)をはさんで3両で運転されることが多いようです。 いずれの車体も、マルーンとオレンジに塗り分けた軽快感あふれるデザイン。
    内部・八王子線(現 四日市あすなろう鉄道)では平成元年6月1日からワンマン運転を開始。近鉄初のワンマン線区です。

  • 特殊狭軌
    運転台
  • ひとくちメモ

    • 八王子線は大正1年、三重軌道により開業。 三重交通・三重電鉄を経て昭和40年、近鉄に合併(内部・湯の山・北勢等と共に)。 昭和49年水害により、西日野~八王子間が大被害を被りそのまま営業廃止。 線名にのみ「八王子」が残っています。
      (区間/日永~西日野、1.3キロ)
    • 内部線は八王子線より同年2ヵ月後、同じ三重軌道により部分開業。
      (区間/四日市~内部、5.7キロ)

近鉄の名優一覧

年代別一覧

形式別一覧